翼状片とは
翼のような形の本来白目(結膜)の組織が、紫外線・加齢などの影響により黒目(角膜)に広がっていく病気です。
日差しのきつい、屋外で活動する機会が多い方に多く見られます。
症状はコロコロするなどを感じる場合もありますが、主に外観が気になるため受診されることが多いです。
放置するといずれ黒目(角膜)の中央まで伸びて視力が低下する恐れがあります。
また、翼状片があると、乱視が起きるので眼鏡が合わなくなっていきます。
翼状片は薬では治らないので手術で治療します。
手術時期の目安は、翼状片が内に侵入する範囲が黒目(角膜)を中心とした外側1/3を超えた頃です。
それを超えると翼状片によって起きる乱視が元に戻らなくなってしまうためです。
また、1/3を超えなくても、たびたび充血や炎症を起こす場合や翼状片の丈が高い場合はコロコロした症状を感じやすいので手術になります。
翼状片手術
治療内容 | 翼状片組織の切除と正常結膜での強膜被覆 |
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費用 | 3割負担の場合¥10,950(薬剤量は別途) |
治療のリスク | 翼状片の再発、感染、組織の脆弱化 |
翼状片は手術をしても再発することが多い病気です。
そのため、手術では黒目(角膜)に侵入した翼状片組織を切除するのは当然ですが、翼状片の再発防止への工夫がポイントとなります。
具体的な再発予防対策は、
①下方の正常結膜を3×4mm程度剥離・切除し、翼状片を切除した場所に移植して縫合します。正常組織は異常な翼状片組織の増殖を抑えてくれる働きがあります。
②そしてさらに、術前に再発やすいと判断した症例には、再発しにくくなる薬液を翼状片の部位に塗布します。
手術時間は30-40分程度です。上記記載のように単純に切除するだけではなく、結膜弁移植と薬液塗布、縫合5~10針を行うので、比較的時間がかかります。
手術直後は角膜・結膜のびらん、結膜下出血や炎症による腫れのため、しばらくコロコロや充血がありますが、抜糸をする術後10日以降には徐々に気にならなくなっていきます。
手術の跡は、白目部分は3か月、半年と時間が経つにつれて、よく見ないとわからない程度まで消えていきます。
ただ、もともと肉厚でピンク色の強い翼状片症例は術後にややピンク色が残りやすい傾向にあります。また、黒目部分は、翼状片組織による白濁がやや残りますので、その点でも早めの手術が望ましいと考えます。